毎月10日はラ・テール洋菓子店のサンクス・ケーキの日

ラ・テール洋菓子店の開店記念日は1998年5月。その初心を忘れないために、毎月10日をお客様感謝の日（サンクス・デー）として、その日にしか出ない「サンクス・ケーキ」を毎月一品開発し、ご予約のお客さまにだけにお渡ししています。この日だけのケーキですが、素材の産地を厳選し、通常のお菓子と同じように開発、準備をしてでき上がったものをご用意。数量も限定させていただいています。 サンクス・ケーキには毎年、年間を通じてのテーマがあります。たとえば、「ロールケーキ」の年もありましたし、「チョコレート」「シュー生地」がテーマの年もありました。

2024年のサンクス・ケーキのテーマは、2023年から引き続き「あるがまま」。ケーキを組み立てる中で必要なソースやジャムなど、月毎の主役となる素材を使うことで、素材が持つ「あるがまま」のおいしさをお楽しみいただけるサンクス・ケーキをおつくりします。

11月サンクス・ケーキ Vol.311

シブースト・ポワール

長野県塩尻市の塩原農園さんの西洋梨

今回のサンクス・ケーキは、ベテランパティシエの松田が長い職人歴の中で出会った塩原農園さんから西洋梨をお送りいただき、シブーストをおつくりします。

長野県塩尻市は日照時間が長く、朝晩の寒暖差があることから甘くみずみずしい西洋梨が実ります。

塩原農園さんで収穫される、数種類の品種の中から、収穫後の追熟も含めて食べごろを迎える、ゼネラル・レクラーク、またはグランド・チャンピオンを使わせていただく予定です。

どうぞお楽しみに！

シブーストとは...

シブーストは、フィユタージュ（折り込みパイ生地）にアパレイユ（流し生地）を流しいれて焼き上げ、りんごなどの果物、クレーム・シブーストを重ねた19世紀中頃にフランス・パリで生まれたケーキです。

クレーム・シブーストは、カスタードクリームに、ゼラチン、イタリアンメレンゲ（熱したシロップを加えたメレンゲ）を合せたふわっと軽い食感のクリームです。表面にお砂糖をまぶしてキャラメリゼして仕上げます。

旬の西洋梨を使ったオリジナルのシブースト

りんごを使ったシブーストが定番ですが、11月のサンクス・ケーキなので旬の西洋梨を使いました。西洋梨は、芳醇な香りは生かして、相性の良い白ワインを使ってコンポートに仕立てました。

パイ生地にクレーム・フランジパンヌ（クレーム・フランジパーヌとも言われます）と西洋梨の白ワインコンポートを入れて焼き上げ、西洋梨の白ワインコンポートを入れた口溶けの良いシブーストクリームを重ねました。

クレーム・フランジパンヌは、アーモンドの風味豊かなクレーム・ダマンドにカスタードクリームを合せた生地です。クレーム・ダマンドだけでも十分おいしいのですが、カスタードクリームを合せることで、贅沢な甘さが加わり、卵の風味が引き立ち、食感もやわらかく焼き上がるため、西洋梨のやわらかな食感と一体感が生まれます。

シブーストクリームに入れた西洋梨のコンポートは、フランボワーズ（木苺）も合せておつくりしているため、ほんのり赤く色づき、ベリーのもつフルーティーな味わいも加わりよりリッチな味わいになります。

しっかりと焼き上げてザクザクとした食感に仕上げたパイ生地、濃厚なクレーム・フランジパンヌの味わい、軽く口溶けの良いシブーストクリーム、全体を包み込むような西洋梨の芳醇な香りのハーモニーをお楽しみください。

（開発担当：松田光弘）