毎月10日はラ・テール洋菓子店のサンクス・ケーキの日

ラ・テール洋菓子店の開店記念日は1998年5月。その初心を忘れないために、毎月10日をお客様感謝の日（サンクス・デー）として、その日にしか出ない「サンクス・ケーキ」を毎月一品開発し、ご予約のお客さまにだけにお渡ししています。この日だけのケーキですが、素材の産地を厳選し、通常のお菓子と同じように開発、準備をしてでき上がったものをご用意。数量も限定させていただいています。 サンクス・ケーキには毎年、年間を通じてのテーマがあります。たとえば、「ロールケーキ」の年もありましたし、「チョコレート」「シュー生地」がテーマの年もありました。

2024年のサンクス・ケーキのテーマは、2023年から引き続き「あるがまま」。ケーキを組み立てる中で必要なソースやジャムなど、月毎の主役となる素材を使うことで、素材が持つ「あるがまま」のおいしさをお楽しみいただけるサンクス・ケーキをおつくりします。

8月サンクス・ケーキ Vol.308

桃の香

山梨県南アルプス市の小野さんから届く「桃」

8月のサンクス・ケーキの開発は、パティシエの三木が担当します。

ラ・テールを始めた当初から長年、果物を送っていただいている山梨県南アルプス市の小野さん。小野さんの果樹園では、土には化学肥料を使わず、農薬もできる限り使わずに、果物を大切に栽培されています。桃だけではなく、さくらんぼやすもも、ぶどうを栽培される果物のスペシャリストです。

開発担当の三木は、以前に小野さんの果樹園を訪れ、実際に桃を食べさせていただいたところ、そのおいしさから、ぜひサンクス・ケーキで使いたい！と思い、今回送っていただくことにしました。

桃は、白鳳系や白桃系を中心に栽培され、時期ごとに収穫できる品種が異なります。今回のサンクス・ケーキではどの品種になるか、お楽しみに・・・。

大きな桃の花から今にも香りが・・・

桃のお花が愛らしい今回のサンクス・ケーキ。ケーキの底には、フランス語で"砕けた"という意味をもつサクサクとした食感に焼き上がる練りパイの生地"ブリゼ生地"を敷きました。ブリゼ生地の中には、バニラの香りをまとったクリームチーズを使ったアパレイユ生地とカットした桃を入れて、シュトロイゼルを敷き詰めて焼き上げました。さらに生クリームを加えて軽い食感に仕立てたカスタードクリーム、お砂糖をまぶしてオーブンでソテーした桃をお花に見立てて、あしらいました。

クリームのバニラとソテーしておいしさをぎゅっと閉じ込めた桃から、芳醇な甘い香りが広がります。

桃は、コンポートやシロップ漬けにしてからケーキに使われることがよくありますが、ソテーすることで甘さが引き立ち、桃の濃厚な味わいをお楽しみいただけます。

桃のサンクス・ケーキができるまで

山梨県では、硬い桃を食べることが多く、今回小野さんから送っていただく桃も果肉が硬めのものを送っていただきます。山梨の桃は、果肉が硬くても甘く、加熱しても形が崩れにくく、果肉の中においしさを閉じ込めることができるので、お菓子づくりにぴったり！ チーズケーキのようなコクのある味わいに仕立てたかったので、アパレイユ生地にクリームチーズを使って、夏のケーキなので、しつこくない味わいになるように配合を調整しました。また、タルトのような仕立てにすることで、生地の中にも外にも桃づくしのケーキに仕立てることができました。

旬の桃のおいしさをお届けします。

（開発担当：三木　弘太郎）