毎月10日はラ・テール洋菓子店のサンクス・ケーキの日

ラ・テール洋菓子店の開店記念日は1998年5月。その初心を忘れないために、毎月10日をお客様感謝の日（サンクス・デー）として、その日にしか出ない「サンクス・ケーキ」を毎月一品開発し、ご予約のお客さまにだけにお渡ししています。この日だけのケーキですが、素材の産地を厳選し、通常のお菓子と同じように開発、準備をしてでき上がったものをご用意。数量も限定させていただいています。 サンクス・ケーキには毎年、年間を通じてのテーマがあります。たとえば、「ロールケーキ」の年もありましたし、「チョコレート」「シュー生地」がテーマの年もありました。

2023年のサンクス・ケーキのテーマは、「あるがまま」。ケーキを組み立てる中で必要なソースやジャムなど、月毎の主役となる素材を使うことで、素材が持つ「あるがまま」のおいしさをお楽しみいただけるサンクス・ケーキをおつくりします。

12月サンクス・ケーキ Vol.300

トレボン！

サンクス・ケーキは、おかげさまで300回目

日頃よりラ・テール洋菓子店をご利用いただきまして誠にありがとうございます。

ラ・テール洋菓子店をオープンした当初は、今の様に周りにスーパーもなく余り賑やかでもなく、多くのお客様にご来店いただける状況ではありませんでした。そんな中ご来店いただくお客様に感謝の気持ちをお伝えしたく、そして職人(パティシエ、パティシエール)たちに腕によりをかけて思うままのケーキを仕立てて、腕を磨くべく、月にたった1日だけ「毎月10日をサンクス・デー=感謝をお伝えする日」として、特別なケーキをおつくりしてきました。

25年もの月日が経ち、300回、毎回ほぼ同じケーキをおつくりすることはなく、一期一会のケーキばかりです。1日だけのためのケーキをつくることは大変なこともありますが、これからもお客様に感謝の気持ちをお伝えできるように、サンクス・ケーキをつくり続けていきたいと思います。

埼玉県並木さんの苺「とちおとめ」

ラ・テール洋菓子店の特別なケーキに欠かせないのが20年以上もの長いお付き合いの並木さん。クリスマスにはスペシャルいちごショートに、これまでのサンクス・ケーキの主役となる素材としてもっとも多く使わせていただいた農園さんです。

苺は無農薬栽培が難しい果物で、並木さんの農園では、「子どもたちが安心して食べられる苺をつくりたい」との思いから、花をつけてからは農薬を使わずに栽培することで、極力農薬を抑えた苺づくりをされています。そして、真っ赤に完熟した苺をひと粒ずつ丁寧に収穫して、直送してくださいます。

ラ・テールのスタッフは並木さんの苺の大ファンで、毎年心待ちにしています。開発担当の栗原もその香りやおいしさに魅了され、毎年農園を訪れお話を伺ったり、いちご狩りをさせていただいたりとお付き合いをさせていただき、300回目の記念となるサンクス・ケーキにも並木さんの苺を！と即決。

並木さんの苺を使ったケーキは、箱を開けた途端にふわ～っと苺の香りが広がり、とても幸せな気持ちになります!

苺のケーキ「フレジエ」をアレンジ

フランスでは、苺を使ったケーキを「フレジエ」と呼び、5月の旬の時期しかつくっていません。フレジェとは仏語で「苺の木」という意味です。

フレジェは、アーモンド風味のスポンジ生地の上に苺とムースリーヌ(バタークリームとカスタードクリームを合せたクリーム)を重ねた濃厚な味わいのケーキです。

今回のサンクス・ケーキでは、ムースリーヌにピスタチオを使いました。香りの良いイタリア産ピスタチオを焦がしキャラメルの中に入れ、キャラメルの熱で火を通します。キャラメルが冷めて固まると、それを砕き、ピスタチオのもつ油分でペースト状に。自家製ピスタチオプラリネの完成です。

お菓子づくりの基本でもっとも重要なクリームともいえる、カスタードクリームとバタークリームに、自家製プラリネを合せて、ピスタチオのムースリーヌのおつくりしました。

苺とピスタチオの相性は抜群!ムースリームの中には、極力お砂糖を使わずに炊き上げたとちおとめ、底にはサクサクのパイ生地を敷きました。ピスタチオ、とちおとめ、パイの三位一体の味わいをお楽しみいただけます。

トレボン！に込めた想い...

トレボン（très bon）は、フランス語で「おいしい」「とても良い」を意味します。

開発担当の栗原が、フランス人シェフと仕事をしていた時に、ケーキの試食をしていただくと、「ボン！」は、いいね、「トレボン！」はとてもいいね、それ以上の際は、「トレビアン！」、この上なくよくやった！という時には「パフェ！（パーフェクト）」という反応をいただけたそうです。

今回のサンクス・ケーキも自信をもっておいしいと言えること、おいしいものを食べた時の幸せな気持ちから思わず笑みがこぼれる...そんなひと時をお過ごしいただきたい、という想いから「トレボン！」と名付けました。

さらにトレビアン！パフェ！という反応をいただけるよう、気持ちを込めておつくりします。

(開発担当:栗原 清)