毎月10日はラ・テール洋菓子店のサンクス・ケーキの日

ラ・テール洋菓子店の開店記念日は1998年5月。その初心を忘れないために、毎月10日をお客様感謝の日（サンクス・デー）として、その日にしか出ない「サンクスケーキ」を毎月一品開発し、ご予約のお客さまにだけにお渡ししています。この日だけのケーキですが、素材の産地を厳選し、通常のお菓子と同じように開発、準備をしてでき上がったものをご用意。数量も限定させていただいています。 サンクス・ケーキには毎年、年間を通じてのテーマがあります。たとえば、「ロールケーキ」の年もありましたし、「チョコレート」「シュー生地」がテーマの年もありました。

2023年のサンクス・ケーキのテーマは、「あるがまま」。ケーキを組み立てる中で必要なソースやジャムなど、月毎の主役となる素材を使うことで、素材が持つ「あるがまま」のおいしさをお楽しみいただけるサンクス・ケーキをおつくりします。

10月サンクス・ケーキ Vol.298

採れたて栗のモンブラン

静岡県掛川産の新栗を贅沢に使いました

今回のサンクス・ケーキはパティシエ歴30年以上のベテランパティシエの松田が担当。昨年に引き続き今年も静岡県の掛川市より収穫されたばかりの新栗を送っていただきます。静岡県掛川市は、お茶の産地で有名ですが、昔は栗の産地でした。農家さんの高齢化などが進み、今でこそ農家さんが減ってしまいましたが、日照時間も長く、この地域は栗の木に適した土壌で、今でも栗の木が残っています。また、お茶の他には柿も有名な地域で、柿の木の横には栗の木が植えてある光景をよく目にします。甘く、ホクホクとした食感の新栗のおいしさを生かして、人気のモンブランをおつくりしました。

ヘーゼルナッツが生み出すコクと深み

新栗に生クリームを合せたシンプルなモンブランもおいしいのですが、今回のサンクス・ケーキでは、オリジナルのヘーゼルナッツが香るクリームを合せました。ヘーゼルナッツをキャラメリゼしてプラリネをつくり、細かく砕いてペースト状にしたものと生クリームを合せておつくりしたオリジナルのクリームは、栗の風味を邪魔する事なく、後味にふわっとヘーゼルナッツが香り、味わいにも深みが出ます。

栗仕事
ラ・テール洋菓子店では、秋の一番人気はモンブランです。創業当時から必ず和栗の新栗を使ってモンブランをおつくりしてきました。ラ・テール洋菓子店の毎年秋の厨房の風物詩とも言える栗仕事。新栗のおいしさの影には、パティシエと栗の時間があります。

余談ですが、栗は、とげとげのイガが皮、鬼皮が果実、渋皮と中身の部分は種。栗は種を守るために、たくさん鎧をきているのだな・・・、とこの時期いつも思います。

さて、一つひとつ丁寧に栗仕事を施した新栗で甘露煮をつくり、クリームや生地をおつくりします。今回のサンクス・ケーキは、底部分にサクサクのパイ生地に栗とアーモンドを合せた栗の甘露煮を散りばめて焼き上げた、贅沢なマロンパイのような味わいの生地をベースにしています。焼きたての生地にラム酒の香りをほんのりまとわせ、ヘーゼルナッツのクリーム、新栗のモンブランクリームを重ねて仕上げました。
1日限りのモンブランです。秋の味覚をお楽しみくださいませ。
※ラム酒を使っていますが、アルコールは飛ばしています。
（開発担当：松田 光弘）