毎月10日はラ・テール洋菓子店のサンクス・ケーキの日
ラ・テール洋菓子店の開店記念日は1998年5月。その初心を忘れないために、毎月10日をお客様感謝の日(サンクス・デー)として、その日にしか出ない「サンクスケーキ」を毎月一品開発し、ご予約のお客さまにだけにお渡ししています。この日だけのケーキですが、素材の産地を厳選し、通常のお菓子と同じように開発、準備をしてでき上がったものをご用意。数量も限定させていただいています。 サンクス・ケーキには毎年、年間を通じてのテーマがあります。たとえば、「ロールケーキ」の年もありましたし、「チョコレート」「シュー生地」がテーマの年もありました。
2021年のサンクス・デーのケーキのテーマは、ラ・テールの職人たちが、「今までに出会ったおいしいお菓子」。 担当者の人生観を変えるようなお菓子との出会いとストーリーを、今の自分が表現し、一期一会のケーキに仕立てます。
シャルロット・オ・ポワールとの出会い
今回の担当は、ベテランパティシエの栗原。菓子職人としてスタートした洋菓子店で出会った先輩パティシエが得意としたシャルロット・オ・ポワール。修行時代にレシピや技術を教えていただく機会がありました。シャルロット・オ・ポワールは、シンプルな構成でありながら、つくり方一つひとつには技術が大切なケーキであり、フランスで伝統的に受け継がれる理由がわかるケーキでした。
それから20年以上の歳月が過ぎて、パティシエとして経験を積み、素材の生かし方、技術を身に付けました。当時出会った愛らしく洋梨の香りを生かしたシャルロット・オ・ポワールを、今の自分ならどのようにつくるのだろう・・・、と思い、洋梨の実も皮も生かして芳醇な香りを生かたシャルロット・ポワールが出来ました。
シャルロット・オ・ポワールとは
シャルロット・オ・ポワールは直訳すると「洋梨の帽子」。謂(いわれルビで)は諸説ありますが、18世紀にイギリスの宮廷で創作されて、王妃シャルロットに捧げられたと言われています。当初はプディングのようなケーキで、フランスの菓子職人アントナン・カレームが、19世紀初めに現在まで受け継がれる形状に似た、フィンガー・ビスケットを敷き詰めた型にババロアを流してつくるシャルロット・ア・ラ・パリジェンヌ、のちにシャルロット・ア・ラ・リュスを考えたと言われています。
山形県の農家さんより送っていただく、洋梨「オーロラ」をたっぷり使いました
山形県の鈴木農園さんより、旬の洋梨「オーロラ」を送っていただきます。洋梨は、収穫後追熟をすることにより食べごろを見極めます。鈴木農園さんでは、追熟しておいしい状態を見極めて送ってくださいます。
シャルロットのポイントの1つ目は、ケーキの周りを囲むビスキュイ生地の表面に現れたペルル(粉糖を振って焼くことにより現れる粒状のもの)。ペルルがしっかりと出ていることで、サックリとした食感をお楽しみいただけます。2つ目は、洋梨のおいしさ。農家さんに見極めていただくので間違いありませんが、開発担当の栗原も伝授していただき洋梨の見極め方を把握しています。十分に熟したオーロラは、甘さの中にさわやかな酸味があり、果汁たっぷりでやわらかく、舌の上でとろけるような食感が楽しめて芳醇な味わい。この洋梨を丸ごと使って真空調理によって仕上げたコンポートを合せたババロアで、洋梨をバターと砂糖でローストし洋梨のペーストを合せたキャラメルと和えたものを包み、仕上げには、洋梨を砂糖とレモン漬けたマリネをたっぷりとあしらいました。
洋梨をこだわりのオリジナルのつくり方で、たっぷり贅沢に使ったサンクスケーキに仕上がりました。
(開発担当:栗原 清)
フランスで受け継がれるシャルロット・オ・ポワール。こだわりのオリジナルのつくり方で、洋梨を贅沢に使っておつくりしました。