毎月10日はラ・テール洋菓子店のサンクス・ケーキの日

ラ・テール洋菓子店の開店記念日は1998年5月。その初心を忘れないために、毎月10日をお客様感謝の日（サンクス・デー）として、その日にしか出ない「サンクスケーキ」を毎月一品開発し、ご予約のお客さまにだけにお渡ししています。この日だけのケーキですが、素材の産地を厳選し、通常のお菓子と同じように開発、準備をしてでき上がったものをご用意。数量も限定させていただいています。 サンクス・ケーキには毎年、年間を通じてのテーマがあります。たとえば、「ロールケーキ」の年もありましたし、「チョコレート」「シュー生地」がテーマの年もありました。

2021年のサンクス・デーのケーキのテーマは、ラ・テールの職人たちが、「今までに出会ったおいしいお菓子」。 担当者の人生観を変えるようなお菓子との出会いとストーリーを、今の自分が表現し、一期一会のケーキに仕立てます。

9月サンクス・ケーキ Vol.273

「木漏れ日」

身に着けてきた技術と製法をひとつの形に...

今回の開発担当は、ドイツ製菓マイスターの資格をもつバクサ裕子です。
大阪のホテルで修行を始めた頃は、ホテルでの華やかなパーティーやウェディングが頻繁に行われていました。そのパーティーに花を添えたデザートによく使われていた製法が、パイ生地を網目の篭の形状に焼き上げたパステーテン※です。

中のケーキを少し隠し、開けるときのワクワク感を楽しませてくれます。
ケーキは、ワインクリームトルテとフランを重ねたオリジナルケーキ。ドイツでの修行時代に出会ったケーキです。それぞれのケーキを引き立てつつ、絶妙なバランスに仕上げました。

ワインクリームトルテとは
9月は、シャインマスカットがおいしい季節。ドイツでの修行時代に食べたワインクリームトルテにぴったりです。

ワインクリームトルテは、白ワインを泡立て、卵やクリームと合せて加熱したクリームのようなムース。口溶けがよく、軽い食感が特徴です。このさわやかさが良いのですが、少し物足りなさも・・・。そこでカスタードクリームをパイ生地に入れて、焼き上げたフラン（パイ生地の中にカスタードクリームとプリンの間のようなアパレイユ液を流して焼いたもの）を重ねることにしました。
ワイントルテにはフレッシュのシャインマスカットを、フランはシャインマスカットを入れて焼き込み、異なる食感と味わいのシャインマスカットをお楽しみいただける仕上がりにしました。

山梨県の農家さんから届く新鮮なシャインマスカット
今回のサンクス・ケーキでは、毎年お世話になっている山梨県の農家さんより大粒で高貴な香りが特徴のシャインマスカットを送っていただきます。皮が薄く、ぷちっとはじけるような食感とみずみずしさが大変おいしいぶどうです。
ワインクリームトルテの白ワインはしっかりと加熱していますので、お酒が飲めないバクサでも気にならないほどですが、お子様やアルコール分が気になる方はフラン部分をお楽しみください。

※パステーテン：Pastetenteig（ドイツ語）は、折り込みパイ生地(いわゆるパイ)に対して練り込みパイ(フランスだとブリゼなど)の事になります。
成形した通りに焼き上がる(ふくらまない)のでパーティなどの細工料理に使われます。

（開発担当：バクサ　裕子）