毎月10日はラ・テール洋菓子店のサンクス・ケーキの日

ラ・テール洋菓子店の開店記念日は1998年5月。その初心を忘れないために、毎月10日をお客様感謝の日（サンクス・デー）として、その日にしか出ない「サンクスケーキ」を毎月一品開発し、ご予約のお客さまにだけにお渡ししています。この日だけのケーキですが、素材の産地を厳選し、通常のお菓子と同じように開発、準備をしてでき上がったものをご用意。数量も限定させていただいています。 サンクス・ケーキには毎年、年間を通じてのテーマがあります。たとえば、「ロールケーキ」の年もありましたし、「チョコレート」「シュー生地」がテーマの年もありました。

2021年のサンクス・デーのケーキのテーマは、ラ・テールの職人たちが、「今までに出会ったおいしいお菓子」。 担当者の人生観を変えるようなお菓子との出会いとストーリーを、今の自分が表現し、一期一会のケーキに仕立てます。

６月サンクス・ケーキ Vol.270

「黒い森のさくらんぼケーキ」

愛され続ける変わらぬおいしさ

今回の開発担当は、ドイツ製菓マイスターの資格をもつバクサ裕子。
日本の洋菓子店では常に、ワクワクするような見た目や味の、新しいケーキがショーケースに並びます。ラ・テール洋菓子店でも職人が日々、新しいケーキの開発に挑戦しています。
バクサが10年間生活をしたドイツでは、ケーキ屋さんに並ぶケーキはシュヴァルツヴェルダーやチーズケーキなど定番のお味が数種類。そして季節の果物を使ったケーキもありますが、どこのケーキ屋さんも季節で並ぶケーキの種類は同じもの。
昔から受け継がれる製法でつくられています。職人の好みで味わいは変わりますが、新しいものを追わない姿勢であり、変わらぬおいしさがそこにはあるそうです。

シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテとは

ドイツ菓子の定番「シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ」は、チョコレートケーキの一種。ドイツの南の方（フランスとの国境近く）に「シュヴァルツヴァルト（黒い森）地方」と呼ばれる地方があって、そこでさくらんぼが沢山採れるので、その特産品のチェリーを使ってつくられたケーキです。
ドイツには苺の乗った生クリームのショートケーキはありませんが、シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテは日本のショートケーキくらいポピュラーなケーキで、どこのケーキ屋さんでもいつもつくられています。
フランスでも、フォレノワールと呼ばれ愛されています。

長野県産サワーチェリー「チェリーキッス」が味わいのアクセントに

シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテの味わいのアクセントとなるチェリー。今回は、酸味が強くコクがある、長野県産のサワーチェリー「チェリーキッス」を使いました。
ドイツ菓子では、シュクレ生地（クッキー生地）の上に生地やクリームを重ねていく手法が多く、今回もシュクレ生地にチョコレートの生地やクリームを重ねています。生地は、しっかりと焼き上げたチョコレート生地。クリームやシロップの水分が染み込むことでしっとりと仕上がるよう考えられています。キルシュ（さくらんぼのお酒）を効かせたシロップやクリームが、ふわっとお口の中に広がります。
ドイツの国家資格である「菓子職人マイスター」を取得する際に学んだ、伝統的な製法でおつくりしました。本場ドイツの味わいに近いケーキをお楽しみいただけます。

（開発担当：バクサ　裕子）