毎月10日はラ・テール洋菓子店のサンクス・ケーキの日
ラ・テール洋菓子店の開店記念日は1998年5月。その初心を忘れないために、毎月10日をお客様感謝の日(サンクス・デー)として、その日にしか出ない「サンクスケーキ」を毎月一品開発し、ご予約のお客さまにだけにお渡ししています。この日だけのケーキですが、素材の産地を厳選し、通常のお菓子と同じように開発、準備をしてでき上がったものをご用意。数量も限定させていただいています。 サンクス・ケーキには毎年、年間を通じてのテーマがあります。たとえば、「ロールケーキ」の年もありましたし、「チョコレート」「シュー生地」がテーマの年もありました。
2021年のサンクス・デーのケーキのテーマは、ラ・テールの職人たちが、「今までに出会ったおいしいお菓子」。 担当者の人生観を変えるようなお菓子との出会いとストーリーを、今の自分が表現し、一期一会のケーキに仕立てます。
ドイツで出会った、受け継がれていく伝統的なケーキ
今回の開発担当は、バクサ裕子。大阪のホテルでパティシエールとして夢中で働き、ひと通りの仕事を覚えた頃、当時のシェフからドイツでパティシエを探しているという話を聞き、即座に立候補!2、3年修行するつもりで単身ドイツへ渡りました。
初めは言葉に苦労しましたが、行く先々で人との縁にも恵まれて、10年間ドイツに滞在しました。
有名ホテルなどで経験を積み、ドイツ修行の証にと、国家資格である「菓子職人マイスター」試験にも挑戦し、資格を取得しました。
ドイツではバタークリームのおいしさと焼き生地の種類が豊富にあることに驚き、さらにその2つを組合せることによって、無限のバリエーションが生まれることに衝撃を受けました。
ドイツのケーキには、昔から名前も校正もそのままに受け継がれる伝統的なケーキが多く、人々に知れ渡っていました。中でも、フランクフルタークランツは、ザンドマッセ(直訳で砂生地)のほろりと崩れる口溶けの良さとバタークリームとの相性が抜群で感動し、バクサの人生を変えるケーキとなりました。
フランクフルタークランツとは...
フランクフルタークランツは、ドイツのフランクフルト・アム・マイン(通称:フランクフルト)の銘菓です。リング状の王冠のような形をしたケーキで、生地の間には酸味のある赤すぐりのジャムをサンドし、さらにクロカンと呼ばれるナッツ入りのカラメルとバタークリームで全体を覆い、仕上げに真っ赤なドレンチェリーを飾ります。名称は、都市のフランクフルトと花輪を意味するクランツに由来すると言われています。
和歌山県産の無農薬栽培の三宝柑(さんぽうかん)を使ったフランクフルタークランツ
三宝柑は、和歌山県田辺市の平尾さんから、無農薬栽培の三宝柑を送っていただきます。三宝柑は、種が多いことから子孫繁栄のシンボルとしても重宝されましたが、近頃ではその種の多さから敬遠されるころも...。しかし平尾さんの農園では、和歌山県発祥の品種として少量ながら栽培を続けられています。やさしい黄色の果実で、さわやかな香り、甘み、酸味のバランスも良い柑橘です。
これまでもバクサは、サンクス・ケーキにフランクフルタークランツをつくりましたが、若干の反省点もあり...。今回は、改善して決定版のつもりで完成させました!
徹底的に口溶けにこだわった、バタークリームのケーキでありながらみずみずしいさわやかな味わいのケーキです。
ぜひご賞味くださいませ。
(開発担当:バクサ 裕子)
ドイツのケーキのバタークリームのおいしさと生地の種類の多さ。中でもほろりと崩れるような食感の生地とバタークリームの組合せのフランクフルタークランツを食べたときの感動は今でも忘れられません。