毎月10日はラ・テール洋菓子店のサンクス・ケーキの日
ラ・テール洋菓子店の開店記念日は1998年5月。その初心を忘れないために、毎月10日をお客様感謝の日(サンクス・デー)として、その日にしか出ない「サンクスケーキ」を毎月一品開発し、ご予約のお客さまにだけにお渡ししています。この日だけのケーキですが、素材の産地を厳選し、通常のお菓子と同じように開発、準備をしてでき上がったものをご用意。数量も限定させていただいています。 サンクス・ケーキには毎年、年間を通じてのテーマがあります。たとえば、「ロールケーキ」の年もありましたし、「チョコレート」「シュー生地」がテーマの年もありました。
2019年サンクス・デーのテーマは、「温故知新」。
古き良きお菓子を現代風に、今までの生産者さまとの繋がりを大切に、様々な食材を 使いながら伝統的なお菓子を、ラ・テールらしくアレンジします。 ラ・テールのコンセプト、「物としての食だけではなく、文化としての食を追求」を重ね、 お客さまへの感謝と共にお届けいたします。
11月サンクス・ケーキ Vol.263
「ラ・フランスの王冠」
シュトゥルーデルとは・・・
シュトゥルーデルは、シュトゥルーデル生地と呼ばれる「新聞紙が透けて見えるくらい薄く伸ばした生地」で、中に詰め物をして幾層にも巻き込み、何度もバターを塗りながら焼き上げたお菓子です。起源は、オーストラリアやドイツと言われていますが、今ではヨーロッパ各国で愛されています。 シュトゥルーデルの中で最も有名な種類は、「アプフェルシュトゥルーデル(りんごのシュトゥルーデル)」ですが、ルバーブやさくらんぼなど、季節の果物で様々な種類がつくられています。
山梨県産の芳醇な香りの洋梨「ラ・フランス」
山梨県北斗市の岩原果樹園さんより届く洋梨「ラ・フランス」を使わせていただきます。岩原果樹園さんでは、有機質肥料を使い、果実には全て袋をかけ、丁寧に栽培されています。ラ・フランスは、収穫してすぐには食べられません。冷蔵と追熟をすることで、食べ頃となります。ラ・フランス特有の芳醇な香りと甘さ、そしてとろけるような食感。食べ頃を迎えたラ・フランスのおいしさは格別です。
こだわりたっぷり!ケーキ仕立てのシュトゥルーデル
冬に近づく季節に相応しいデザートを・・・、との思いから、シュトゥルーデルをつくりたいと考えた開発担当のバクサ。11月であれば林檎もおいしいのですが、この時期だけの特別なシュトゥルーデルをつくるために選んだ素材がラ・フランスでした。 シュトゥルーデル生地で果物の水分を吸収しながら、おいしさを閉じ込める「ブルーゼル(バゲットをパン粉にし、バターで煎ったもの)」を果物と一緒に包みます。今回は、ブーランジェリーラ・テールのバゲットでブルーゼルをおつくりしました。 りんごのシュトゥルーデルでは、クルミを入れることが多いのですが、クルミの苦みは避けたかったので、香ばしくほんのり甘いピーカンナッツを、そしてラム酒に漬けたレーズンではなく、ポワールウィリアム(ラ・フランスのリキュール)に漬けたレーズンを使いました。 本来であれば、酸味のある果物でつくられることが多く、りんごの場合も酸味のある紅玉りんごを使うことが多いとのこと。ラ・フランスは、酸味はあまりないので、焼き上がりの表面には杏ジャムを塗り、ほんのり酸味を効かせて仕上げました。 ドイツやオーストリアでは、シュトゥルーデルは、ケーキとしてではなく、デザートとしてソースやクリーム、バニラアイスを添えて食べます。そのため、今回は、自家製のカスタードクリームを合せた軽めのダマンド生地(アーモンドを使った生地)、底にはドイツ菓子らしくシュクレ生地を重ね、シュトゥルーデルもリング状にして焼き上げ、オリジナルのケーキ仕立てに。 サンクス・ケーキでは珍しく、常温でお持ち帰りいただけるケーキです。そのままでもおいしくお召し上がりいただけますが、ぜひご自宅で温めて、バニラアイスを添えてデザートやおやつ時にお召し上がりください。
(開発担当:バクサ裕子)
ヨーロッパ各国で親しまれる「シュトゥルーデル」。
山梨県産の洋梨「ラ・フランス」を使って、
生地で丁寧に焼き上げました。
サンクス・ケーキでは珍しい、温めてお召し上がりいただきたいケーキです。