毎月10日はラ・テール洋菓子店のサンクス・ケーキの日
ラ・テール洋菓子店の開店記念日は1998年5月。その初心を忘れないために、毎月10日をお客様感謝の日(サンクス・デー)として、その日にしか出ない「サンクスケーキ」を毎月一品開発し、ご予約のお客さまにだけにお渡ししています。この日だけのケーキですが、素材の産地を厳選し、通常のお菓子と同じように開発、準備をしてでき上がったものをご用意。数量も限定させていただいています。 サンクス・ケーキには毎年、年間を通じてのテーマがあります。たとえば、「ロールケーキ」の年もありましたし、「チョコレート」「シュー生地」がテーマの年もありました。
2019年サンクス・デーのテーマは、「温故知新」。
古き良きお菓子を現代風に、今までの生産者さまとの繋がりを大切に、様々な食材を 使いながら伝統的なお菓子を、ラ・テールらしくアレンジします。 ラ・テールのコンセプト、「物としての食だけではなく、文化としての食を追求」を重ね、 お客さまへの感謝と共にお届けいたします。
8月サンクス・ケーキ Vol.260
タルトタタンの始まり。失敗は成功の基?
タルトタタンは、りんごを焼き型に入れ、その上にタルト生地をのせて焼き上げたフランス発祥のお菓子。ロワール地方にほど近いソローニュ地方の小さな町、ラモット・ブーヴロンのホテルタタンの厨房で1 9世紀につくられました。当時このホテルは大変人気があり。ホテルでおいしいお料理をつくっていたのは、ステファニー・マリーとジュヌヴィエール・カロリーヌという姉妹でした。
ある日、あまりの忙しさにデザートを準備することを忘れてしまった姉妹の一人が、パニック状態のままタルト型にりんごをいきなり詰めて焼いてしまいました。そこへもう一人の姉妹がオーブンをあけてびっくり!生地がない!すぐに機転をきかせて、生地をかぶせて焼き、焼き上がってからタルトをひっくり返しました。すると、りんごはあめ色に輝き、とろけるような食感。その後このお菓子の評判は町に広まり、ホテルの看板菓子となりました。
そして、その後フランスの食通ジャーナリスト、キュルノンスキーが食し、そのおいしさを記事にしました。たちまちパリでも評判になり、現在も愛されるお菓子となりました。
新潟県産・白桃。品種は、その時収穫された一番おいしい品種で...
今回のサンクス・ケーキに使う果物は、新潟県のいりえ栄蔵果樹園さんの白桃です。色々な種類の白桃や洋梨を栽培されている果樹園さんで、数年前よりお世話になっています。その時々の天候や気候の変化を顕著に受ける果物。近年、1か月後に収穫される品種もわからないことも。
今回は、「まさひめ」または「なつっこ」が収穫時期を迎えるため、こちらでおつくりし
ます。品種によって味や香りも変わりますが、そこは職人の腕の見せ所。白桃の水分量、
甘さ、香りなどを見極めておつくりいたします。
白桃のタルトタタンだからこそ
日本の白桃は、水分量が多く、やわらかく、甘くさわやかで甘い香りが特徴。白桃は、果皮を剥かずにキャラメリゼし型に入れ焼き上げました。焼きこむことで水分を飛ばし、白桃のおいしさをぎゅっと凝縮。果皮の食感は、焼き込むことでやわらかくなりますが、果肉は食感が保たれます。白桃の下には、アーモンドを使ったダマンド生地とシュクレ生地(クッキー生地)を重ねました。ダマンド生地には、食感と味わいのアクセントに国産の木苺をのせて焼き上げています。
仕上げには、サワークリームを合せたカスタードクリームと、レモンをきかせたシロップにくぐらせたフレッシュの白桃を。さわやかな味わいがお口に広がります。
(開発担当:池田 義行)
フランスの伝統菓子「タルトタタン」を新潟県産の白桃をつかっておつくりしました。じっくり焼き上げたタルトタタンは、白桃の味わいがぎゅっと詰まった贅沢な仕上がりに。旬のおいしさをお楽しみいただけます。