毎月10日はラ・テール洋菓子店のサンクス・ケーキの日
ラ・テール洋菓子店の開店記念日は1998年5月。その初心を忘れないために、毎月10日をお客様感謝の日(サンクス・デー)として、その日にしか出ない「サンクスケーキ」を毎月一品開発し、ご予約のお客さまにだけにお渡ししています。この日だけのケーキですが、素材の産地を厳選し、通常のお菓子と同じように開発、準備をしてでき上がったものをご用意。数量も限定させていただいています。 サンクス・ケーキには毎年、年間を通じてのテーマがあります。たとえば、「ロールケーキ」の年もありましたし、「チョコレート」「シュー生地」がテーマの年もありました。
2019年サンクス・デーのテーマは、「温故知新」。
古き良きお菓子を現代風に、今までの生産者さまとの繋がりを大切に、様々な食材を 使いながら伝統的なお菓子を、ラ・テールらしくアレンジします。 ラ・テールのコンセプト、「物としての食だけではなく、文化としての食を追求」を重ね、 お客さまへの感謝と共にお届けいたします。
4月サンクス・ケーキ Vol.256
タルト・シトロンとは・・・
タルト・シトロンとは、「レモンのタルト」のこと。フランスのパティスリーやブーランジュリでは、よく見かける定番ともいえるお菓子です。
タルト・シトロンは、タルト生地に、バターを使ったレモンクリームを入れたお菓子。レモンのクリームとのバランスで、お店によっては、仕上げにメレンゲをのせることもあります。
日本では余り馴染みのない、貴重な国産グレープフルーツ
日本各地で様々な柑橘類がつくられているにもかかわらず、お店に並ぶグレープフルーツはほぼ100%が外国産。その背景には、日本の気候では海外産地に比べて気温が低く、育てにくいということがあります。
和歌山県での栽培でも寒さがネックに。色々と試みた結果、収穫の時期が重要で、本格的な寒さが来る前に収穫し、適温で貯蔵することで独特の強い酸味がまろやかになり、おいしくなります。(果物の中には、穫れたてではなく、収穫後貯蔵させて食べごろになるものがあります。)
今回は食べ頃となった完熟のグレープフルーツを使わせていただきます。
とろ~りなめらかな、グレープフルーツのソースと一緒に
4月のサンクス・ケーキは、グレープフルーツの酸味とさわやかな香りを生かしたく、タルト・シトロンをアレンジすることにしました。
本来なら、タルト生地の中に、レモンのクリームを流し入れますが、今回は、グレープフルーツのクリームをソース状にとろ~りなめらかな食感に炊き上げ、スポンジ生地の中に閉じ込めました。この時、スポンジ生地がソースが溶け出さないようバタークリームを薄くコーティングしています。そのバタークリームにもグレープフルーツの果皮を合せました。
グレープフルーツの果皮はピールにして、アーモンド生地と合せて焼き上げました。その上に軽くシロップに漬けたグレープフルーツ、カスタードクリーム、クッキー生地、スポンジ生地に閉じ込めたグレープフルーツのソース、グレープフルーツの果汁入りのメレンゲを重ねて、仕上げました。まさにグレープフルーツづくしで、1台に約2個分のグレープフルーツを使っています。
そっとナイフを入れると、中からソースがとろ~り。全体にからめてお召し上がりいただきたく、組立てにこだわりました。
(開発担当 池田 義行)
フランスではポピュラーなお菓子「タルト・シトロン」を、レモンではなく、和歌山県産のグレープフルーツでアレンジ。パティシエこだわりの組立てと贅沢に使ったグレープフルーツの味わいをご堪能ください。