2017-09-14
ブーランジェリー ラ・テールの本店は朝7時開店。
近隣のお客さまに朝の出来立てのパンを召し上がっていただきたく、そのために工房は毎日365日休むことなく、1日24時間フル稼働で30種類以上の小麦粉を使い分け、100種類以上のパンを焼き上げています。
わたしたちのシェフ、森田政士と後藤哲享は粉オタク、いえ、無類の粉好き人間で、端から見ていると、彼らはまるで小麦粉と会話しているよう。
30種類以上もの小麦粉を使い分けているパン屋さんが他にあるのかは分かりませんが、これだけの種類の粉を使いこなせ
るってことは凄いなぁって、身内ながら感心しています。とにかく半端ではない気がします。
パン屋にとって先ずは素材ありきで、農から生まれた自然の恵みの素材に、職人の技、人の心が重なった時、はじめて本当のおいしさが生まれてくると思います。そういった意味では日々研鑽を重ね、素材探しに奔走したりもしています。
素敵な素材と出会った時には心が踊り、思いが深まり、この素材を生かして何とかおいしいパンに結実したく、日夜議論を重ねたりもしています。
お届けしている9種類の食パンたちも、そういった成果の表れと自負していますが、いかがでしょうか。
9種類の食パンは、使っている小麦粉も異なり、こだわりの、シェフたちの味覚、官能的に優れた鋭い舌で素材の組合せの妙を駆使したものばかりです。
国産の小麦粉は、外国産のものよりも扱いが少し難しいようです。難しい理由としては、国産小麦粉はグルテン(タンパク質)の量が少ないため膨らみが悪かったり、と慣れるまで試行錯誤するケースも多々あります。
北は北海道から南は九州まで、各地の小麦のよさを存分に活かしながらおつくりしているパンの数々。小麦粉は農産物ですから、北と南では環境も、土も違うので、育成も当然異なります。小麦の成分値は地域によって変わり、当然味も異なります。タンパク質量±1というのは普通の範囲内。日本国内でも味や成分に差が出るのだから、海外と違うのは当然のこと。
ふつうわたしたちが小麦粉を選ぶ時には、タンパク質量や灰分を目安にしますが、実はその性質も重要。国産小麦特有のモチッとした食感もこの性質ゆえ。良くも悪くも、日本の気候や土がつくり出す特有の性質があります。
ともすると北海道中心になりかねないところですが、わたしたちはそれぞれの地域で、味も性質も異なる小麦の特性を生かした食パンにチャレンジしています。形や大きさも、山型や四角だったり、食べやすさや識別のしやすさ、買いやすい価格等も配慮してそれぞれに特徴を持たせました。
日本の小麦の自給率は14%位で、その内、パン用小麦の自給率はわずか1%程度。国産小麦粉は、価格的にも輸入小麦粉に比べておよそ2倍位で、中には5倍もするものもあります。でも、何より安心面では代え難いものがあります。輸入小麦粉は、ポストハーヴェスト(輸送のときに散布される大量の防虫剤)の問題があり、わたしたちはお店を始めた当初から国産小麦にこだわってきました。
味わいも異なる9種類の食パン。毎日の食卓を彩る食パンそれぞれの個性を知って、食べ比べて、食シーンで、また気分で使い分けてみてください。
麹糖と、湯種製法によりα化した小麦粉が、やや黄色味がかります。
フランス産小麦の果皮に限りなく近い部分を、粗めに製粉しているため、茶色味がかった表面。
中はしっとり、気泡がやや大きいです。
全粒粉の色味がしっかりと出ます。中をしっとりさせたく、四い型で焼き上げました。
100%北海道産小麦粉「春よ恋」を使った、もちもち食感の食パン。
湯種製法でおつくりすることにより、もちもちの食感に仕上げました。
豆乳や生クリームなどを贅沢に混ぜ入れた、甘みのあるふんわりとし食感の食パンです。
全脂粉乳や生クリームの「乳製品」が、薄黄色の生地になります。トーストて食べた時に軽く仕上げたかったので、山型に仕上げました。
5種類の穀物の表情が豊かです。
中はしっとり、キメの細かい生地です。
セカンドピューレのぶどうの果皮が、生地に練り込まれているため、淡く紫
がかっています。